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書籍詳細
 
ライト・フライヤー号の謎
−飛行機をつくりあげた技と知恵−
鈴木真二著
B6・230頁 / 2090円
発行年月日 : 2002年2月
ISBN : 4-7655-4431-1
 

内容紹介
ライト兄弟がフライヤー号で初の動力飛行に成功してから100年.自転車の修理・販売・製作などを手がけていた兄弟を,何が飛行機開発に駆り立てたのか,動力飛行のヒントをどんなことに見出したのか,なぜ,兄弟は,その後の飛行機の歴史において影が薄いのか.本書は,ライト兄弟がフライヤー号をつくりあげる過程とその背景,そして,その後の飛行機の発達と兄弟の境涯とを,飛行力学的に正確であること,わかりやすく,おもしろいことを旨として,一般向きに紹介した読み物である.兄弟の創造への意志と情熱,技と知恵,その後,すさまじいスピードで進むことになる飛行機の発達と,その発達に次第にとりのこされていった兄弟の限界,パイオニアの悲哀が描かれる.
 
目次
1.飛行への関心が芽生える
ライト兄弟の生い立ち/印刷事業から自転車事業へ/飛行への関心の高まり 等

2.先人の研究を調べる
航空工学の父ケイレイ卿
モンゴルフィエ兄弟による熱気球の成功/飛行の原理の確立/空気力の測定/翼の空気力特性がわかる/ヘンソンの空飛ぶ蒸気車構想/グライダーの製作と飛行
悲運の天才ペノー
グライダーの父リリエンタール
空気力の実験を行う/翼の空気力に関する実験データ/グライダーの製作と飛行試験/動力機の研究を進める/リリエンタールの残したもの/再評価されたリリエンタールの飛行/初飛行の栄冠はだれのもとに

3.飛行機の研究に着手する
ライト兄弟,活動を開始する/解明されていなかった飛行の要素/鳥の飛行の技を探る/凧を飛ばす/飛行実験場を探す

4.グライダーを飛ばす
水平舵を前方におく/キティホークへ向かう/1900年グライダーの初飛行/持ち上がった課題/揚力が不足する理由/オクタブ・シャヌート/シャヌートのグライダー実験/へリングの動力付きグライダー/ライト兄弟,1901年グライダーを設計する/2年目の飛行実験/依然として残された課題

5.グライダーの揚力を計算する
なぜ揚力は発生するか/ニュートンによる空気力学の夜明け/ニュートンの考えた空気力学/よみがえったニュートンの空気力学/空気力学の大定理「ベルヌーイの定理」/オイラーが完成したベルヌーイの定理/空気の重さと大気圧/空気の動きによって変化する圧力/ベルヌーイの定理を利用した速度計/行き詰まった空気力学/空気力の実験計測技術の発達/空気抵抗を計算するスメートン係数/リリエンタールのデータ/リリエンタールの誤り/ライト兄弟の計算結果

6.揚力の不足を解決する
空気力をばねばかりで量る/スメートン係数への疑い/リリエンタールの翼との違い/翼型の反りが空気力に及ぼす影響/圧力中心の移動/反りの形の影響/アスペクト比の効果/空気力データの取得を開始する/風洞を自作する/風洞の精密なメカニズム/最良の翼を探る/1902年グライダーを設計する/今日でも行われる風洞実験

7.操縦方法を確立する
新しい試みとその結果/飛行機の操縦法/コーディネートターン/鳥はどのようにして旋回するのか/三軸の安定性の定義/兄弟のグライダーの安定性/上反角は不要/新たな「きりもみ」に遭遇する/可動式垂直尾翼への改造/テストパイロットも兼ねていた兄弟

8.フライヤー号の動力飛行に成功する
力,パワー,エネルギーの違い/仕事はエネルギー/パワーは単位時間当りの仕事/飛行機に要求されるエンジンパワー/ガソリンエンジンの製作/プロペラの理論の研究/プロペラの設計/1903年フライヤー号の完成/最後の試練/初飛行の準備/失敗した最初の飛行/フライヤー号初飛行に成功

9.実用機に仕上げる
安定なシステムとは/重心が決める縦の安定性/飛行機の重心位置/速度を調整する尾翼/尾翼が前にある機体/1904年フライヤー号の試行錯誤/実用の域に達した1905年フライヤー号

10.飛行機の売込みを開始する
最初の実用機フライヤーA型/フランスでの華麗なる旋回飛行/ファルマンの旋回飛行/旋回のメカニズム/向心力をいかにして得るか/設計思想の違い/フランス飛行機の歴史/ドゥチュ・アルシュデック賞の創設/サントス・デュモンの初飛行/ボアザン兄弟による飛行機製造/名機アンリ・ファルマン・の出現/ブレリオのドーバー海峡初飛行/名パイロット,ラタムのアントワネット/ブレリオとラタムの争い/ヨーロッパ機の時代

11.カーチスと特許をめぐり争う
スピード王カーチスの経歴/カーチス,飛行機を製作する/虎の尾を踏む/アメリカ陸軍の評価試験/ライト兄弟,カーチスを訴える/兄弟の特許/兄ウィルバーが倒れ,特許抗争が再燃する/ラングレー教授の飛行実験/エアロドロームの有人飛行/エアロドロームの復元計画と裁判の結末/カーチス・ライト社の誕生

12.揚力はなぜ発生するか:翼理論の誕生

13.フライヤー号の翼はなぜ薄いか:境界層理論の誕生

14.パイロットはなぜ左席か:操縦方式の変遷

15.手ばなし飛行への挑戦:自動操縦装置の誕生

16.ロッキード・ベガとダグラスDC−3:近代的飛行機の誕生
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